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新着情報

2022.06.01

【NICEライブラリー】6月のおすすめは『国際法』です!

NICEプログラムには、学修デザインに役立つ各分野の入門書を集めた「NICEライブラリー」があります。
毎月、ライブラリーから選んだ本を「今月のおすすめ」として紹介しています。
6月のおすすめは、『国際法』(中谷和弘ほか著. 有斐閣アルマ. 2021)です。

「国際法違反」―2022年2月24日、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始してから、
頻繁に耳にする/目にするようになったことばです。
「国家間の取り決め=国際法」という漠然とした理解でも間違いではありません。
ですが、今回の侵攻に際して各国がよりどころにする国際法とは、いったいどのような法体系なのでしょうか。

本書『国際法』は全18章からなり、国際法の概要から、同法がカバーする幅広い領域、
安全保障から領地問題(陸海空、宇宙)、経済、人権、環境などを扱っています。
たとえば、第16章「紛争の平和的解決」、第17章「武力・経済力の行使と国際法」は、
歴史的な事例を具体的に参照しながら解説が進められています。
国連安保理や国連総会が紛争解決に果たす役割、人道的介入や経済制裁など、
現在の情勢と照らし合わせて読み進めることができます。

本書は、専門科目として国際法を学ぶ人を対象としているものです。
そのため、はじめて法学を学ぶ人にとっては、まず法学独特の言い回しに苦戦するかもしれません。
また、所々で判例の参照先(〇〇事件, 19□□年〈百選△△〉)が示されていますが、
判例集をかたわらに置いていない限り詳細が明らかにならないため、
「消化不良」の感覚がないわけではありません。

それでも、この網羅的な「手加減のなさ」は、読者に滋養を与えてくれます。
国際法を学ぶことで、国際のしくみについて知識を得るだけでなく、
その概念自体が平和を希求するものであることがわかります。
情報が氾濫する戦争の時代の現実を読み解くために、このような確かな足場を築くことは重要です。

また、国際法上のあるトピックの法制化のために、幾年も続けられている努力があるのを知ることで、
市民としての小さな行動も決して無駄ではないという希望が生まれます。
もともと国際協力、平和構築に関心のある人だけでなく、メディア論や国際経済論を学ぶ人に
特におすすめです。                            (神田 麻衣子)